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３ SNOW HOLIDAY
玄関から二階へとつながる階段の方で、きゅいきゅいとあのスリッパの音が微かに聞こえる。うたた寝をしてしまったようだ。他人の家でこんな状況なのに。俺は意外と神経が図太いのかもしれない。
「六十秒ぴったりですか！？」
息を切らせて帰ってきたチカは、薄手のコートを羽織り、黒いタイツを履いている。防寒対策、準備万端！ とは言い難いが、まあこんなもんだろう。
「ん、ぴったり六十秒だ。やっぱりチカは賢い」本当はうたた寝をしていました、などと言えるはずもなく、あまりにも懸命な姿を見るとそう嘘をつかざるを得ない。汚い大人になったもんだ。子どもと触れ合うと、まざまざと実感させられる。「よし、行こうか」
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