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「ははは……っ、ひぃー、腹痛てぇ。ったく、太郎はホントに誤字癖が酷いな」
先の話に挙がっていた母とのトーク履歴を棚橋――高校でできた初めての友達だ。理系はからっきしのため、文系特化のこの高校に進んで高卒といい肩書きを楽に手に入れようと目論んでいる――に見せると、棚橋は案の定大爆笑した。
「しょうがないだろ、誤字くらい誰でもするだろ」
「いやー、太郎の誤字と俺らの誤字は違うんだよ。俺らのはたまに間違えるだけ」
「いや、僕だって……いや、毎回間違えてるか……でもほら、間違いの内容はあるあるじゃない?」
論破してやった……と棚橋をドヤ顔で見れば、棚橋はやれやれと言わんばかりに溜息をついた。
「だってよ……『青春を欧化』だぜ?なんだよ、彼女は金髪碧眼美少女か?文化祭は鹿鳴館で舞踏会でも開くってか。……いやー、こう考えると太郎の誤字は益々面白い」
――想像してみよう、『青春を欧化』することを。
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