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色褪せないもの
「大事な話がある」
そう言われて、昨日彼女と別れた。
「明日仕事が終わったら電話する」
彼女は言っていた。
具体的な用件や、時間は何も聞かされなかった。しかし彼女の表情からしていい話ではないだろう。大事な話と言われて最初に思いつくのはやはり別れ話だが、何の相談もなく、別れ話になるものだろうか。考えても彼女に聞かなければわからないと思いながらも、僕は考えるのをやめることができなかった。
そうこうしているうちに時計の針は6時半を指していて、彼女のいつもの仕事終わりの時間が来たことを教えてくれる。僕は覚悟を決めて、携帯に目をやりつつお茶をコップにいれて電話を待つことにした。
―僕は電話を待つ
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