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タマとアタシ
うちにはタマという名のメスのネコがいた。
まだ社宅に住んでいた頃、家の周りにいた野良猫のうちの一匹だった。
大抵の野良猫は人間を警戒して、こちらが近づくと逃げるものだが、タマはとても人懐っこいネコだった。
おそらく飼い主に捨てられてしまった、もしくは迷子になって帰れなくなりここへたどり着いたのだろう。
うっかりタマにエサをやってしまったからさあ大変。
それ以降タマは毎日私の帰りを忠犬ハチ公のように待ち、うちにあがりこんでしまった。
困ったもののそれまで住宅事情で犬、猫が飼えなかった私はかなり嬉しかった。
と言っても社宅もペット禁止なのだが…(汗)
最初は苦い顔をしていた主人も情がうつり(←ざまあみろい!)
とうとうタマは我が家の新しい家族となった。
季節はもう寒くなってきた頃で、タマと一緒に寝るのが日課になった。
特に無理に布団の中へ入れなくても自分から入ってくるのだ。
私の腕の中で安心して丸くなって眠るタマがこの上なく愛しかった。
暖かくなってきた頃、社宅を出ることになり今のマンションへ移り住んだ。
「ここがこれからお前のテリトリーだよ」
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