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「ねぇ、さっきからブルーライトがチカチカしてる」
幸は、どうしても気になるらしくて
ずっと廃墟デパートの屋上を見ている。
私は弘美に
「随分前に廃墟になったんでしょ?
なんで電気通ってる訳?」
と聞いた。
「確かに」
みんなで一斉に廃墟デパートの屋上に視線を向けた。
「………」
「え……」
「!」
「あ……」
一瞬、黒い影が………。
ブルーライトの灯りに照らさせた。
理香は、煙草の吸い殻を落とした。
「今の……」
「シルエット的に女の人?」
「だね……」
霊感の強い弘美は
「見ない!見ない!帰ろう!」
と言った。
「うん……」
みんなで広い駐車場を横切り、車を停めてある場所までゾロゾロと歩いた。
すると弘美が小声で、みんなに言った。
「あそこの街灯あるでしょ?
あっち見ないで!無視して」
「え?なんで?」
「誰か居るの?」
「女の人が、こっち見てるから見ちゃダメ!」
駐車場の隅の方を、みんなで固まって歩いた。
各自が停めてる駐車場に着いて、みんなでホッと安堵した。
「本当にいたの?」
佳奈が弘美に聞く。
「居たから見るなって言ったの」
「さっきの廃墟デパートの女の人?」
「さぁ?そこまでは分からない」
「みんな、家に着くまで心の中で念じなよ?『着いてくるな!』って」
弘美が言うと説得力がある。
その後、彼女は霊媒師になった。
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