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3.邂逅
いつもと変わらない日に、彼女は突然ベンチから立ち上がった。
それだけで彼女がずっと待ちぼうけをくらっていた人物が現れたことをさし、僕と同じように反応した人間は他にも数名いたこともわかった。
やはり彼女を見かけて気にしていたのは僕だけではなかったらしい。
ちょうど僕もこれから駅に入ろうとしていたところだったため、足を止めて彼女の行動を見守ることにした。
こんな長いこと駅のベンチに女子高生を待たせていたのは一体誰なんだ? と野次馬心がくすぐられてしまう。
これから帰宅ラッシュということもあり、駅前は人が多くその流れも速い。
立ち上がった彼女はどこかに歩いていくかと思ったのだが、彼女はその場に笑顔で突っ立ったまま。
そして代わりにある人物が彼女の元へとゆっくりと歩み寄って行った。
人の波でよくは見えないが、まぁ別にいいか……と距離を詰めることはしない。
気にはなるが、合流した相手ととる次の行動で大体の人物像は絞れるだろうと呑気にその感動の瞬間を眺めることにしたのだ。
彼女の元へと歩み寄る人物。背丈からすると多分男だろう。顔はよく見えない。
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