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腰を上げようとしないわたしを見下ろし、智久さんは悔しそうな溜め息を落とす。
「なんでや。なんでそない、意固地になるんや」
「意固地とか、そういうんじゃありません。わたしはただ……」
わたしは、ただ……。
そこから先の言葉が出てこないことに、自分で愕然とする。
智久さんからも、取締役からも、正善食品からも離れる──自分ではこれがいちばんいいことだとわかっているのだ。
けれどそれを智久さんにもわかってもらおうと言葉に変換しようとしたとたん、それはなんの説得力もない、弱っちいわたしのただのたわ言であることに気づかされてしまった。
そうではないと証明したいのに、いったいなんのための決意なのだろう。
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