星無しと見なされた者

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「元気な男の子と女の子でしょう?  ふたりとも目元はあなたそっくりね。私が好きな優しい目をしてる。口元は私かしら?  2人ともきっと良い子に育つわ……この子たちのこと、よろしくね?あなt…… 」 オリヴィエは最期の言葉を言い切る前に息絶えてしまった。 男は最愛の妻と、その妻が命と引き換えに残した双子の赤子を抱き込むようにベッドに伏せた。 その目は涙で溢れていたが、泣き喚くことはしなかった。 それはヴァロン帝国という実力至上主義国家、なおかつ三大貴族の当主と言う環境で育った弊害とも言えよう。 最愛の妻が亡くなっても声を出して泣けないのだ。弊害と言っても過言ではないだろう。 「ノックス様……オリヴィエ様がこのような事態の最中で大変申し上げにくいのですが  1つよろしいでしょうか?」 隣りでその光景を見守り、ともに悲しみを共有している執事がノックスに問いかける。 ノックスはベッドから身体を起こし、毅然とした姿勢で執事の方へ向いた。 「ご子女のココ様には、たて座の星印が見られるのですが、  ご子息のコウ様には星印と思われるものが見当たりません故…」 この世界の人は、産まれると同時に星座の加護を受ける。これを『守護星』と言う その印として、左耳の後ろに『星印』と呼ばれる痣のようなものがある。 執事の言うことが正しければ、『星無し』という烙印を押される対象となってしまうのだ。
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