星無しと見なされた者

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「そこでだ。この子をジパン王国か東厳郷へ送ろうと思っている。  どちらにするべきかを悩んでいるし、本当に送って大丈夫なのかという不安もある」 いよいよ本題を切り出すと、使用人たちは固唾を飲んで真剣に話を聞いている。 ノックスが話終わり少しして、執事が右手を挙げて話し出した。 「旦那様。ジパン王国も『星力こそがすべて』と言う風潮が残っています。  東厳郷の方が星力の研究も進んでいますし、科学技術も発達しています。  受け入れてもらえる可能性は高いかと……」 この執事はノックスが小さいころから世話をしている執事で、今では執事長であり当主であるノックスが意見を求めるほど優秀な人物である。 「セバスが言うならば、その方がいいのであろうな。  良し。それでは各自星力を行使し、防衛効果をコウに付与してくれ!  並大抵の者では触れられぬようにしておけば、悪いようにされる  可能性も減るだろう……」 それぞれ防衛効果をコウに付与した結果、コウに触れられるのはノックスのみとなった。 これはノックスと同等の力を持つ者でないと、コウに触れられないということである。 ちなみにノックスは、『星帝』に選出されたことがあるほどの実力者だ。 「みな、感謝する  それではこの子を東厳郷の森へ移動させる。  もう一度言う。他言無用で頼む」 深々と礼をして執事以外を書斎から退室させた。
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