星無しと見なされた者

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他の使用人が退室するのを確認した執事長は、ノックスに歩み寄った。 「ノックス様、苦しい判断だとは思いますが、オリヴィエ様も理解していただけるはずです。  しかしこの子はきっと生き延びて良い人に拾われるです。  今はこの子の無事を祈りましょう。」 「そうだな。この子には本当に申し訳ないことをしてしまう。  こんなどうしようもない親を許してくれ……」 ノックスは手紙を籠に入れるとコウの額に口付けをして、別れを惜しむように頭を撫でた。 手紙にはこのように記した。 _________________________  名前:コウ  大切に育ててあげてください。    そして、もしこの子が星力を行使できているならば  高等部は“王立ジパン学園”へ入学させてください。 _________________________ 「ココとコウは一卵性双生児だ。  性別の違いはあれど、出会えれば必ず通じ合うものがあるだろう。  ココはジパン学園に通わせることにする。  きてくれ!〈いて座-ケールス〉!」 ノックスの呼び掛けで、いて座の星座が浮かび上がり白金色の毛並みを持つ、神々しいケンタウロスが召喚された。 これはタンジェ家に伝わる【継承星】と言われる星力の一種で、自分が認めた者にのみ儀式で継承できるものだ。
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