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「おいおい、ノックス。久しぶりに呼ばれたと思ったら穏やかじゃない状況だな。こりゃ、どういう状況だ?」
白金色のケンタウロスはコウのことを見るなり、目を見開きノックスを睨みつけた。
その眼光は、長年時間を共にしたノックスですらも、一瞬身体が硬直してしまうような威圧感を放っていた。
「ケールス……わかっている。俺もこれが正しいとは思っていない。
しかしこれしかこの子を生かす道はないんだ!
だから頼む……お前の矢でこの子を東厳郷まで飛ばしてくれ」
未だに後悔を拭い切れていない表情のノックスは覇気のない声でケールスに訴える。
ケールスもノックスの心情を察したのか、眼光を緩めると籠を持ち上げてコウの顔を覗き込む。
「けっ!お前そっくりの目してやがるな。
お前の親父のことを考えたらしゃーねぇけどよ。後悔しても遅いからな。」
籠を矢にくくりつけると、弓矢を引く動作に入った。
それを見るノックスと執事長セバスの表情は、哀愁に満ち溢れている。
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