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「ちょっと痛いが我慢しておくれ
〈瞬迅武闘流‐昇迅脚〉」
瞬時にボルケーノドラゴン亜種の懐に潜り込むと、身体の重心を的確に蹴り上げる。
少し浮いた巨体を更に連撃で蹴り上げて、身体の自由を奪う。
しかし、そこはさすがドラゴン、『空中戦なら負けないぞ』と言わんばかりの様子で、羽を上手く使い体勢を立て直し、尻尾で反撃に出る。
そして振り下ろされた尻尾は、しっかりと老婆を捕えたかのように思えた。
砂埃が立ち込める中、立て続けに大きく削った地面に向かって、大気中の水分すらも凍てつくほどのブレスを放った。
本来のボルケーノドラゴンならば、灼熱の溶岩を連想させるほどの高熱のブレスなのだが、これは亜種ならではなのだろう。
あたり一面が凍てつき、対象の死を確信したドラゴンは少し気を緩めて上空から下降しようとする。
その刹那、ドラゴンは背後に気配を感じ振り返ろうと羽を羽ばたかせる。
「悪いね、ドラゴン。そんな大振りに
当たってやれるほど年老いちゃいないのさ。
〈瞬迅武闘流‐迅墜脚〉」
ドラゴンよりも高く飛び上がっている老婆はドラゴンが振り向く暇を与えず、首元に踵降ろしをお見舞いした。
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