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「あら、翠や。森に1人で入っては危ないよ?
確かにこの籠はここで拾ったから、
翠の言っておる落下物で間違いないじゃろう。
中はちょっと驚きの光景じゃったがの」
「私だって今月から高等部!
ギルドランクもSになったんだから大丈夫だよ!
ところで中には何が入っていたの?」
16歳になる年齢の少年少女が高等部への入学対象であるため、この少女もその年齢なのだろう。
しかし、ギルドランクSというのは、通常で考えればその年齢の少女が到達できる領域ではない。
翠と呼ばれたこの少女が、天才または相当な鍛錬を積んでいるという証拠だ。
あるいは、その両方だろう。
「小さいな男の子じゃよ。コウと言うみたいじゃ。
それじゃ、琉威に報告に行こうか。
どこにいるかわかるかい?」
「赤ちゃん!?どうしてこんなところに……
そうだね。まずはお父さんのところに行こう」
翠は赤子の顔を覗き込み、おそるおそる頬に触れた。
初めて触れる赤子の頬は、柔らかくしなやかでハリのあるシルクのような肌で、思わず笑みがこぼれてしまう。
未だ安心した様子で安らかに眠っている赤子を連れて、二人は自宅へ戻った。
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