人智超越の煌星

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空は真っ青に澄み渡り、小鳥や虫の鳴き声がとても心地良い。 天守閣のある純白の城の周囲には、大勢の群衆が集まっていた。 ここは東の大陸、『東厳郷』の中心地にあるギルド『神聖なる仙境』である。 この日、一人の少年がある偉業を成し遂げようとしていた。 天守閣の展望台には、艶やかで妖しい雰囲気を纏う黒髪の美女が佇んでいる。 この女性こそ、ギルド【神聖なる仙境】の総支配人 十条 翠(じゅうじょう すい) である。 ザワザワと雑談をしている群衆に向けて、右手を出し静めるような素振りを見せると、 たちまち静まり返って緊張感のある雰囲気に変わった。 「皆様。本日はお集まりいただき誠に感謝いたします  すでにご存知の方がほとんどだと思いますが、神聖なる仙境が誇るトップランカー  『夢幻に誘う音姫』は、『人智超越の煌星』という新たな二つ名とともに、  世界初の『RO(ランクオーバー)』に認定されました」 静まり返っていた群衆は、翠の言葉をきっかけにこの偉業を称賛した。 自分のことのように泣いて喜ぶ者や、踊りで表現する者、指笛で場を盛り上げる者など 表現の方法は様々だが、この場には称賛していない者など誰一人として存在しなかった。     
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