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職員はすぐに上司に報告し,警察を呼んでダムの底を調べるように訴えたが,祭りに参加していた市長をはじめ警察署長も誰もその許可を与えなかった。
祭りが終わった次の日,久しぶりの雨が降り草木ダムの水位が一気に上がった。
一夜にしてダムは元の姿に戻り,かつてそこに村があったことを隠すかのように緑色に濁った水が静かに揺れていた。
いまでも毎年,お盆になるとダムの底に仄かな灯りが燈り,ほんの数時間だけ先祖の霊たちによってかつての賑わいをみせているが,そのことを口にする住民は誰もいなかった。
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