プロローグ

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A.D.2165年 国際宇宙条約機構による火星の開拓が開始されてから約130年 火星には幾多もの地表型コロニーが建造され、人類にとって火星はもはや安住の地となりつつあるかのように見えた。 「…あんなガキどもに負ける訳がねえ…」 年の頃は30代半ば辺りか、屈強な体格の男が宇宙服の中で呟いた。 宇宙服を着たその男は、複雑な計器が並ぶ狭いコクピットに座り、呟きながらも目の前にあるモニターを虚ろに見つめている。 コクピットの中は薄暗かったが、モニターや計器類の発する光がコクピットの中の陰影を際立たせていた。
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