吸収

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 授業中もぼんやりそんなことを考えながら時間をやり過ごした。  そして、二時間目が終わる。授業が終わっても伊澄瑠璃子は席を立たない。すると、案の定、女子が二、三名、彼女の周囲に現れた。  さっきと同じじゃないか。君島さんは何を言っていたんだ。何もおかしいところはない。  三時間目もやり過ごし、昼休みになった。  気がつくと、伊澄瑠璃子は席を立ち、取り巻き連中が後に続いた。  君島律子を見ると、一人寂しく弁当箱を開けているところだった。ついこの前までは彼女の取り巻きが周囲に机を寄せ弁当タイムとなっていたのに、今は一人だ。さすがにこの風景には同情を禁じ得ない。
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