委員長神城涼子

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「松村くんの様子がおかしいと思うのだけど」  遠くの席の松村に聞こえないよう、小さな声を出した。その分、顔が近い。胸も近い。 「最近、あいつとあまり話さないからな」  それは本当のことだ。 「屑木くん、松村くんと仲がよかったわよね?」  どう答えるべきなのか?  僕は「仲はいいけど」と言って「そう言えば、松村、なんか最近ちょっと変わったみたいだな」と答えた。それも本当のことだ。  僕はそう答えた後、「なんで松村のことが気になるんだ?」と訊ねた。  松村に気があるとか? 「だって、心配じゃない・・」 「松村のことをか?」 「違うわよ!」  ムキになって神城は言った。 「だったら、誰のことがだよ」意味が分からない。 「心配じゃなくて・・」と言い澱み、 「委員長としてよ・・私の責務なの」と言い直した。  私の正義感? そう言いたいのか?  委員長はそこまで気遣わなくていいと思う。
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