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神城の話はそれでお終いかと思われたが、彼女は更にこう言った。
「松村くんは・・あそこ・・大学の裏手の屋敷に行ったみたいなのよ」
「知ってるよ・・行くって言ってたからな」と僕は答えた。
「松村くんがおかしいような感じを見せ始めたのは、その日かららしいわ」
それも知っている。
「それも、だいたいわかるけれど、神城がなんでそんなことを知っているんだ?」
僕の問いに神城涼子は、「ただの噂よ・・誰かが言っているのを聞いたのよ」と答えた。
「あんまり噂を真に受けない方がいいよ」と僕は彼女を戒め、「あいつ、一人でいったのか?」と訊ねると、
「まさか、そんなところに一人で行くわけないでしょ、もう一人連れがいるのよ」と答えた。
あまり興味を示さない僕に神城は更に無理難題を言い出した。
「それでね・・屑木くんにちょっと協力してもらいたいのよ」
「何を」
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