吸収

6/11
292人が本棚に入れています
本棚に追加
/1262ページ
 そんな思いで君島を見ていると、僕の前に神城と佐々木が現れた。 「ねえ。屑木くん、奈々と三人で校庭に行きましょ」  三人で弁当だな。  僕は承知して弁当箱持参で神城、佐々木と3人で校庭を見下ろす階段に腰かけた。  5月らしい青空が広がっている。  この三人でいるのも次第に慣れ、居心地も良くなっている。  ある種の吊り橋効果かもしれないな・・この三人で怖い思いをしたのだから。  そんなことを思っていると、さっそく神城が話を切り出した。 「君島さんの言っている意味がわかったわよ」 「涼子ちゃん・・私も気づいてましたよ」と好奇心旺盛な佐々木奈々が言った。 「なんのことだ? 僕もずっと見ていたけれど、何も変わったところはなかったぞ」 「もうッ、屑木くんは伊澄さんの姿ばかり追いかけていたでしょ」そう神城がきつく言った。 「そうじゃないのか?」  そう言った僕に神城は、 「休み時間ごとに、伊澄さんの周りの女が変わっているのよ」と説明した。  佐々木奈々が「そうなんですよ。変ですよ」と同調した。  休み時間ごとに、伊澄瑠璃子の取り巻きの女子が変わっている・・それはおかしいことなのか。
/1262ページ

最初のコメントを投稿しよう!