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神城は息を整えながら、
「顔に穴が、っていうのはちょっと大げさだけど」と言って「どう言ったらいいのかな・・松村くんの顔・・そうね・・がらんどう・・そんな感じ」と言い直した。
「がらんどうって・・その表現は松村に悪いだろ」と僕は神城の言い方を責めたが、
神城は改めずに、
「いえ、あながち的を外した表現でもないわよ」と強く言った。
「でもな、人の顔を、がらんどう、って言うのは良くないと思う」そう僕は神城を戒めた。
「だったら、そう言うのならね、屑木くん、見てみなさいよ。松村くんの顔を」
神城の大きな声に、前で談笑していた男女が振り向いた。
僕は口に人差し指を立て、神城に「しッ」と言うと、「あとで松村に話しかけてみるよ」と言った。
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