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廃墟屋敷
◆廃墟屋敷
二階の僕の部屋の窓からは、大きな山を背にした大学の時計台が見える。
山は六甲山系の一つである十文字山で、
大学は僕の滑り止めの大学だ。
十文字山の麓には大きな竹林があり、その道筋には鬱蒼とした茂みに囲まれた屋敷がある。それは朽廃した廃墟で、僕が小学生だった頃、みんなからお化け屋敷と呼ばれ、子供たちは誰も近づかなかった。
窓は割れ、板塀は捲れ上がり、当然、人は住んでいない。
だが、そんな子供心に恐怖だった場所も、僕が小学校を卒業し、中学、高校と進んだ頃には、その屋敷の正体が分かり、興ざめたものだ。
その屋敷は住む人がいなくなった後、大学の音楽部が物置き代わりに使っているということがわかった。
なるほど、屋敷の前を通ると、大学生たちが談笑しながら出入りしているし、外からでも大きな楽器のケースが見えた。
・・理由を知れば怖いものなんて、この世に存在しない。
それは僕の父の言葉だ。
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