伊澄瑠璃子

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 抜けるような白い肌・・制服以外、特に着飾っているわけでもないのに、何かを身にまとっているように映る容姿。  僕はなぜか、彼女の出す雰囲気に人離れしたものを感じ取っていた。  今までに出会ったことのない存在。  まさしく高嶺の花だ。  誰も手が届かない・・  ・・いや、手が届いたかどうか確かめようもない。  まだ誰も「つき合ってください」とかの類の告白をした者はいないらしい。  恐れ多くてできないのだろう。  だが、そんな彼女を快く思わない人種だっている。  俗にいう、女の嫉妬だ。  自分より上を歩く人間に向けられた眼差しだ。 「なによ、あんな女」 「たいして綺麗でもないのに、みんな、見ちゃってさ」  憧れの声に混ざって、そんな別の声も耳に入ってくる。
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