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もう一人の来訪者
◆もう一人の来訪者
ぱらぱらと、天井から大きな埃や土が落ちてきた。落下物の中には、見たこともない虫もいる。落ちた虫がザザッと這い出した。君島さんが悲鳴を上げ、僕に抱きつく。
見上げると、天井の板が、あちこち破れ、朽ちているのが目につく。板の向こうには何があるというのだ。
顔に降りかかった土が、目に入り込み、視界を奪われる。
すると、突然、
「ふほおおっ」
何か獣のような声が聞こえた。目を擦って、注意深く辺りを見る。
誰もいない。
いや、いた!
神城のうしろに、ぶらーんと何かが垂れている。
天井から、ぶら下がって垂れてきているのだ。それは、あの巨大な蛭の一部のようだ。
それが異様に伸びている。まるで何かの触手のようだ。
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