もう一人の来訪者

6/7
前へ
/1262ページ
次へ
「君たちも、これで分かっただろう。この姉妹はね、僕の妹のサヤカが、たった一度犯した過ちを許さず、こんな仕打ちをしたんだよ。随分とひどいだろ?」  渡辺さんは僕らにそう説明した。  たった一度の過ち・・  それは、何の罪もない伊澄さんの姉を騙し、男に性的暴力をさせたこと。  だが、それを「たった一度の過ち」と言うだろうか。 「あら、それだけで、この女は、こんな姿にならないと思うわよ」  そんな僕の疑問に答えるように、伊澄瑠璃子が言った。 「この女はね、私のレミ姉さんが、その後、どうなったのかを確認しに、山に来たのよ」  このサヤカと言う女は、暴行の現場に居合わせたのか。  性的暴行をされた後、友人だと思っていたサヤカが現れた時、伊澄さんのお姉さんは、何を思ったのろう。そして、そこでどんな会話が交わされたのだろう。  いずれにせよ、その後、お姉さんは、男に殺され・・  いや、待て!  そこにサヤカがいたのなら、男の行動を制止するはずだ。  サヤカは、男の暴挙を止めなかったのか?  まさか、サヤカは、男を止めることなく、そそのかしたのか?
/1262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

292人が本棚に入れています
本棚に追加