レミとサヤカ

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レミとサヤカ

◆レミとサヤカ  サヤカは、顎の関節が緩くなっているのか、口をガクガクと揺らしながら何かを言っている。「んおっ、んぷっ」と意味不明の声を出した後、 「レミ・・レミが、体の、中に」と言った。確かにそう言っている。  その目は、焦点を失っていて、左右に上下にと回転している。 そして、次に、「お・の・れ・・レミ」と、  自分の体を巣食うレミに対しての憤りの言葉・・恨み辛みのような言葉を吐いた。  僕は少しずつ理解し始めた。  渡辺さんの妹、サヤカの中に入っている「あれ」は、伊澄さんのお姉さん、伊澄レミの体の一部だ。  おそらく、これまで出会った「あれ」は、全て、伊澄さんのお姉さんの一部だったのだ。  屋敷内で初めて白山あかねが空中に噴き出した血を吸い上げたのもそうだったし、体育の大崎の中に入っていたのも、伊澄瑠璃子の姉のレミの一部だった。  つまり、この町で起こった異変は全て、この姉妹に起因するものだった。  だとしたら、まさか・・
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