伊澄瑠璃子

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 幸か不幸か、僕はそんな彼女と同じクラスだ。  けれど、いくら綺麗でも、彼女とは住む世界が異なる。それ故にどうでもいいことだ。  僕は現実的だ。  憧れや夢など追いかけても空しい。その先には何もない。 「由緒ある家の出らしいわよ」 「おい、そんなことを何で知ってるんだよ」 「あくまでも・・噂よ」  ・・そう、噂はいろんな方向に向かう。  小さなことが大きく膨らんだり、  噂の陰で、肝心な情報が漏れたりもする。  それに、伊澄瑠璃子の家は教師以外には誰も知らない。  当然ながら、家族構成も知らない。  要するに、伊澄瑠璃子のことは誰も何も知らないのだ。
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