逢引する男女

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逢引する男女

◆逢引する男女 「なあ、屑木・・」  休み時間、僕の名を呼んだのは、自称、僕の友達の松村だ。  中学の時からの連れ合いで、僕の名が松村に「くず」と略されるのに対して、松村は略しても面白くないので、ただの「松村」と呼んでいる。  松村は痩せぎすのひょろっとした男だ。つき合いは長いが、それほど深くはない。  何の話かと思えば、猥談まがいの男にしかわからない話を始めた。 「大学の裏手のお化け屋敷・・屑木も知ってるだろ?」  大学も山も、お化け屋敷も近所だ・・屋敷は、大学のただの物置だ。 「あの屋敷はただの物置だろ。それにお化けなんかいない」  僕が興味なさげに答えると、 「違うんだよ。屑木。俺の言っているのは別の話でさ」とムキになって話し始めた。
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