292人が本棚に入れています
本棚に追加
/1262ページ
逢引する男女
◆逢引する男女
「なあ、屑木・・」
休み時間、僕の名を呼んだのは、自称、僕の友達の松村だ。
中学の時からの連れ合いで、僕の名が松村に「くず」と略されるのに対して、松村は略しても面白くないので、ただの「松村」と呼んでいる。
松村は痩せぎすのひょろっとした男だ。つき合いは長いが、それほど深くはない。
何の話かと思えば、猥談まがいの男にしかわからない話を始めた。
「大学の裏手のお化け屋敷・・屑木も知ってるだろ?」
大学も山も、お化け屋敷も近所だ・・屋敷は、大学のただの物置だ。
「あの屋敷はただの物置だろ。それにお化けなんかいない」
僕が興味なさげに答えると、
「違うんだよ。屑木。俺の言っているのは別の話でさ」とムキになって話し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!