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黒の剣士
「ふぃ~.....一先ずは終わったか。」
朝のモーニングラッシュを乗り越え、ゆったりとコーヒーを飲む。うん、苦い。
でも、まだ終わりじゃない。もうすぐ彼も━━
カランカラン。
「よぅ。来たぜ、シュウ。」
「いらっしゃい。コーヒーかい?」
「砂糖2つ。」
「はいよー。」
来たのは、良くも悪くも有名な黒の剣士サマ。因みに常連だったりする。
自分が暇な時には大体此処に来るらしい。暇潰しに丁度良いんだとか。
「.....うん。やっぱり美味しいな。」
「お気に召して何より。んで、今日もサボりかい?」
「んな訳あるか。最近アスナが口煩いってのに、それで休んだら度胸大アリだよ。」
「確かに。」
話が逸れたな。さっさと用件を聞きますか。
「で?何しに来たの?」
「.....もうすぐ、クォーターに差し掛かる。だから━━」
..........成る程。つまり、僕に出て欲しいのか。まぁ、猫の手も借りたいんだろ。
だけど━━
「ゴメン。僕には出来ないや。」
「.....そうか。ゴメン。こんな事聞いて。」
「良いよ。僕が勝手に“行きたくない”って思ってるんだから。こちらこそゴメンね?」
胸が苦しい。ホントは行かなくちゃいけないのに。戦わなくちゃいけないのに。
でも、僕には出来ない。こんな“嘘をついて”までも、僕にはやらなくちゃいけない事がある。
「その代わり、僕は此処で待つよ。皆が帰ってきたら、お祝いをしようか。」
「良いなそれ。楽しみにしとくぜ。」
まぁ、それはその時だ。皆が危なくなったら勿論助けるし、“あの力”も当然使う。
でも、そんな事は起きないだろう。僕の手なんか要らなくても皆は強いから。
「.....お待たせしました。どーぞ。」
「あ、ありがt.....ケーキ?」
「心配してくれたお礼と僕なりの激励。これからも頑張ってね、って事さ。」
取り敢えず、僕に出来る事はこれぐらい。飲食店店主としての仕方。
まぁ、結局は当面動かないという事。ユウキとランも居るんだし大丈夫だと思うのが僕の意見。
「マジか!!頂きます!!」
「召し上がれ~。」
今日も僕は正常運転。
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