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復讐の為に、たくさんの命を奪った俺。
憎しみ、恨み、妬み、たくさんの汚い感情を抱いた俺。
せっかくの命を自ら絶った俺。
そんな愚かな俺には、もう決して逢えないと思っていた。
全身の力が一気に抜けて、崩れるように両膝をついて泣き喚く俺を、この世では足の不自由のなくなったリアナが歩み寄ってきて、優しく抱き包んでくれる。
「お疲れ様、頑張ったね。
もう、いいよ。たくさん泣いて、いいよ」
一度離れ離れになった時には出なかった涙が出た瞬間。俺の世界にもようやく色が戻り、いつしか真っ白だった髪も元に戻っていた。
「おかえりなさい、お兄ちゃん!」
「っ……ただいま。リアナ、みんな……ッ」
花畑だった一面に優しい風が吹き、その場所は次第に故郷の村へと変わる。
もう一度、逢いたいーー。
毎日のように祈り続けていた願いが叶って、俺は再び笑う事が出来た。
俺が還ってくる日を、リアナや村のみんなはずっとずっと待っていてくれたんだ。
行商に行った俺を、いつも暖かく迎えてくれた、あの日のようにーーー。
ーENDー
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