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死神騎士(3)
騎士団での生活は、以前の村の貧乏暮しとは比べ物にならない位に豊かだったと思う。
国王の城の地下室に設けられた騎士団員の部屋には、足を伸ばして眠れるベッド、たくさんの机や椅子、寛ぎの時間に読める書物やちょっとした娯楽も用意されていた。
ほつれや汚れのない、身の丈に合った衣服。
騎士団員全員お揃いの、黒地に黄色の刺繍が所々施されたビシッとした制服。
何よりも、食事。
自分が今まで食事と言ってきた物は何だったのか?と思う程に、口にした事も、見た事もない料理の数々と量。
しかし、俺の胸が弾む事は一度もなかった。
ただただ、たんたんと過ぎる日々。俺からしたら、部屋でじっとしているよりも戦に出ている時の方が早く時間が過ぎて楽だった。
普段はほとんど話さない、人と接する事をしない俺が、戦場では全くの別人のように活躍する姿を見て他の騎士達は不気味がっていた。
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