死神騎士(5)

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死神騎士(5)

…… …………。 永い眠りから覚めたような感覚。 ゆっくりと瞼を持ち上げると、真っ先に映ったのは眩しいばかりの光。 鼻に届いた良い香りに辺りを見渡すと、そこは見た事もない位に美しい花畑が広がっていた。 赤、白、黄……。様々な色で咲く美しい花。 その、何年か振りに色付いた景色を見た瞬間。俺の瞳からは止めどなく涙が溢れて零れ落ちた。 そして……。 「お兄ちゃん!」 背後から聴こえた懐かしい声に振り向けば、今まで被っていた”死神騎士”の仮面が外れていった。 「もうっ、相変わらずグズなんだから! 私、ずっとずっと天国(ここ)で待ってたんだよ?」 以前と変わらない、頬を膨らまして拗ねる仕草とその言葉に、たくさんの想いが溢れて嗚咽が止まらない。 ーーもう一度、逢えた。 国王を暗殺し、全てを終えた俺には、もうあの世界で生きている理由がなくて……。自ら、その命を絶った。
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