第二章 ケステル共和国

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 2人から1人に戻った事で、また振り出しに戻ってしまった。マカボルンの情報もあまり得られなかったため、次なる行動を起こさなくてはならない。途方に暮れた俺は、飯でも食べようと路地裏を出ようとした瞬間、少し離れた場所から物音が響いてくる。 「んーー!!んーんー!!!!」 微かに口を塞がれた時に出るような声が聞こえた。 その声色を聴いて嫌な予感がした俺は、その場からすぐに駆けだす。 路地裏を走り抜けて辺りを見回すと、路地裏から中央通りへ抜ける所の目の前に馬車が停まっていて、2・3人の男達が馬車に何かを乗せようとしていた。 ミヤだ!! 姿かたちは赤みがかった茶色い髪しか見えなかったが、1人の男が彼女の刀を持っていた事で、馬車に乗せられそうになっている人物がミヤだと悟る。 男達は中にいる人物と話をしていたかと思うと、馬車は出発してしまった。残された男達は、どうやら彼女の刀を売り飛ばそうかという話をしているようだ。  このとき、猿ぐつわ等をされて刀を取り上げられた=拉致・・・という発想にたどり着くまで、そう時間はかからなかった。本来、旅人の厄介事に関わっても誰も助けてくれないので、何もメリットはないのはわかっている。 だけど、このままでは・・・!! しかし俺は、理屈では語れない何かを感じていた。 「その刀、俺に譲ってくれないかな?」 俺の声に気がついた男達はこちらを向いてきた。 「なんだぁ?てめぇは・・・」 「・・・その刀、誰かの落し物ってことかな?だったら、忙しそうなあんたらに代わって俺が役所に届けるよ?」 遠まわしに「お前らがやっていた行為は見逃してやるから、刀を渡せ」って言っているつもりだけど・・・通じたかな? 俺は遠まわしな言い方をして、相手の出方を伺う事にした。 「アホぬかしてんじゃねぇぞ、このガキが」 3人の内、一番大柄な男が俺に鋭い目で睨んできた。しかし、睨まれるくらい全然怖くない。それは過去に、今よりも怖い経験を何度かしているからだ。そして、どこにでもいるようなチンピラのように、俺を殴って大人しくさせようと向かってきた。
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