第二章 ケステル共和国

4/17

69人が本棚に入れています
本棚に追加
/392ページ
本当は剣を使ってしまえば容易に勝てるが、傷害罪とかで捕まる訳にはいかないため、素手で対処することにした。俺は剣士だが、ある程度の体術は会得しているので、チンピラ程度なら特に問題ない。向かってきた男に対して俺は殴り返すこともなく、紙一重で避けたのと同時に相手の足を引っ掛けてやった。そうしたら見事にこけたため、思わずにやけてしまった。 「野郎!!!」 お決まりの台詞で殴りかかってきたもう一人の男も、先程よりは素早い相手ではあったが、やられることもなく余裕で地面に崩れ落ちていく。 「なら、この手に入れたばっかりの刀で切り刻んでやる・・・!!」  ミヤの刀を持っていた3人目の男が鞘から抜こうとしていた。その光景を見た俺は憤りを感じる。 こんなくだらない喧嘩に、剣士の刀を使うなんて・・・! 剣は人間の道具とはいえ、剣士にとっては命と同じくらい大切な物。同じ剣士として、憤りを感じずにはいられない。  「やめろ!!!」  「うるせぇ!!!」 頭に血が上った俺は、刀を持った男を掴みかかってします。 そのため、すぐさま突き飛ばされてしまった。俺を突き飛ばしたその手で彼女の刀を持ち、男は抜こうとしていた。  しかし、いくら取り出そうとしても、刀は1ミリたりとも動かない。不思議に思った男は両手・片足を使ってみたがそれでも動かなかった。 大の男が抜けないなんて…どうなっているんだろう? その光景に対し、俺は違和感を覚える。すると、感電したような音が周囲に響いた。 「痛てぇ!!!」 気が付くと、指を抑えながら男は痛そうな表情で刀から手を離していた。その瞬間、俺は急いで男からミヤの刀を取り戻し、来た道を戻り始める。
/392ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加