第二章 ケステル共和国

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その後はあっという間に事が進み、オークションの参加者及び関係者が連行されていく。知らない間に、空き家の周りには政府の兵隊がたくさんいた。 「ミヤ…!!」 檻の鍵を手に入れた俺は中に閉じ込められていた彼女を解放し、縄をほどく。 「よかった…!」 そこで俺は彼女の刀を手渡した訳だが、ミヤは自分の身の安全よりも、刀が戻ってきた事に安堵しているようですごく柔らかい笑顔になっていた。 先陣切って叫んでいたシフトが、自分はケステル共和国直属のギルドに所属していて、今回大規模な闇オークションを取り締まってほしいという依頼を受けていた。 そして、アルバイトに紛してオークションに潜入することで取引が行われている所を現行犯逮捕しようとしていた事。しかし、ただ一つ―――――部外者である俺が会場に入ってきたことだけが予想外だと後で話してくれた。 「とりあえず、あの少年が言っていた”フェニックス”という店に向かおう」 ミヤの荷物を取り戻し、元の服装に戻った俺たちは歩き出した。 「…どうして、私なんかを助けたの?」 「特に理由はないよ。ただ…」 疑心暗鬼な表情で問いかける彼女に対し、俺は間をあけながら答える。 「ただ、一つだけ言えるのは、放っておけない…君の力になりたいって思っただけかな」 俺の台詞を聞いたミヤは少し予想外だと言わんばかりの表情をしていた。 「俺からも一つ聞きたいんだけど」 「…何?」 「君はどのような目的で旅をしているの?」 その言葉を聞いたミヤは、一瞬黙る。 「人を…探してるの」 「それって大事な人?」 「ええ。その旅の途中でマカボルンの存在を知って…。”願い事を叶える魔石”…これさえあれば、父の居所もわかるんじゃないかって思ったの」 「そうだったんだ…」 旅人が旅を続ける理由はそれぞれある。 でも、このように具体的に話を聞けたのは初めてだった。
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