第二章 ケステル共和国

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「俺も、自分や…周りの人々のためにマカボルンを探しているんだ。それと、旅は一人より二人の方が楽しいし!ほら、”二人寄れば文殊の知恵”って言うじゃない?」 「”3人”…でしょ?」 わざとボケた訳ではないが、間違えた俺に対してクスクス笑いながらミヤは言った。 「それも…いいかもしれないわね」 その言葉を聞いて俺は叫びたいくらい嬉しかった。 「よろしくね…セキ」 「…ああ…!」 照れくさそうに言うミヤに対し、満面の笑みで答えた俺は、そのままゼーリッシュの街へと駆け出していくのであった。  闇オークションの会場から何とか離れられた後、私達はとある場所に向かっていた。どうやら、セキはシフトという銀髪の少年を助けたことで、「フェニックス」というお店に招かれたらしい。 言霊があるのかもしれない… そう私は考えていた。かがされた薬の影響がかすかに残っていたのもあったが、彼の言葉には暖かさと強い意思を感じた。本当は求めてはいけない暖かさだが、悪くないかもしれない。そう思って、一緒に旅することを同意したのである。 「いらっしゃい!!」 扉を開くと、店員の声が響く。 「えっと、シフト君に招待されたんですけど…」 「ああ、シフトの友達(ダチ)かい。…奥の席で座って待っていてくれ」 セキの台詞(ことば)を聞いた店長が、奥の席を案内してくれた。 どうやらこの“フェニックス”というお店は、夕方から夜間営業のカフェらしい。席につきしばらくすると、先程とは違うと思われる服装をしたあの少年が入ってきた。 「待たせてごめんなさい!なかなかすぐには片付かなくて…」 「全然大丈夫さ。それより、このパスタとスイーツ本当にタダでいいのか?」 「いいのいいの!昼間のお礼なんだから!」 私とセキは4人くらい座れる席に座っていたのだけれど、テーブルいっぱいのパスタとスイーツを運んできて、無料で食べて良いという。
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