第三章 古代種と魔物という存在

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第三章 古代種と魔物という存在

 ゼーリッシュの街を出た俺・ミヤ・シフトの3人はケステル共和国国境近くにある古代図書館という建物の前に到着していた。領土の関係から見ると、この場所はケステル共和国の国営図書館と言いたい所だが、実はここはどの国の所有施設でもない。それにはちゃんとした理由があった。  この図書館は名前通り、作られた時代は不明だが、はるか昔に建てられた図書館。しかし、その蔵書量は半端ではなくあらゆる時代の資料も探せるため、蔵書量世界一を誇ってるとも過言ではない。その分利用者は多いが、長所ばかりといえない。 俺も噂で聞いただけだからよく知らないが、①奥に進めば進むほど、中の構造が勝手に変化しどこに何冊あるかが検討もつかない。②図書館内の本を人の一生だけでは読みきることができず、夢中になりすぎたり、館内で迷って餓死する者も時々いる。このような2つの噂を聞いていた。とある学者が言うには、古代図書館には古代人の思念――――もしくは魔力が染み付いていて、そういった不可解な現象を起こしているらしい。下手すれば、命奪われそうな場所だが、古代都市トウケウ以外でマカボルンの文献を探せるのは、世界中でもここだけである。だからこそ、俺達は来たのだ。 「そういえば、久しぶりに魔物倒したけど…意外と弱いんだね、あいつら」 図書館の入り口で、シフトが余裕そうな口調で言った。 実はここに到着する50分程前、改めて二人の強さを実感したのである。一人だった時は、相当強そうな奴に遭遇した時だけ逃げ出していたが、3人だとその必要がほとんどない。シフトは足技を得意とし、彼の蹴りによって魔物の歯を何本もへし折っていた。一方、居合を得意とするミヤは、刀を振った瞬間が見えず、動いたと思えば既に魔物が痛みによる悲鳴を上げていた。 俺も負けてられないな…! 戦いながら、改めて剣士として強くなりたいと俺は強く感じていた。 「…シフト。この地は“最果ての地”よりかなり離れているから、この程度の強さだったと思うの。旅が続けば、それだけ強い魔物が増えていく…。だから、油断は禁物よ」 俺の隣で、ミヤが冷静に諭す。 「あはは。そっか★」 シフトが笑いながら歩いていく。
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