第三章 古代種と魔物という存在

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“最果ての地”というのは、伝承においてマカボルンの在り処と云われている土地。そこまでたどり着くことができたのは、100年くらい前に魔法大国ミスエファジーナの女王だったアクト・ファジーナだけだといわれている。また、今いるケステル共和国から「最果ての地」までは大陸一個分以上の距離があり、まだまだ道のりは長い。  古代図書館の1階フロアに到着する。この階は本閲覧用の席が多いため、ここで読書や調べ物をしている人が多い。 「お、あれって蔵書検索する“コンピューター”じゃないかな?」 古代都市トウケウで見たものに比べると旧式なかんじだが、確かに“コンピューター”だった。 「でもさー、噂によるとこの図書館の造りってどんどん変化しているんでしょ?検索しても、意味ないんじゃない??」 「あ、そうか…」 シフトの指摘によって、俺はがっくりとうなだれる。 …うっかりしていた。俺ってこの中では一番の年長者なのに…情けない シフトの言葉で、俺は年長者としての威厳が地に落ちたような気がした。 「それにしても、本の場所がわからないとなると、どのようにして探せばいいのかしら…?」 「片っ端から探すしかないのかな?」 「ここでは”自分が本当に探している資料”だったら、必ず見つかるぞい」 気が付くと、俺達の側に80歳くらいの老人がやってきて言う。 「へっ??」 俺とシフトは、言葉の意味がわからず、首を傾げる。 「どういうことですか?」 それを見かねたミヤが、その老人に問う。 「この図書館では“造りが変わる”と云われているが、それは一重に古代人の意思が館内に宿っているからなんじゃ。…彼らは資料を探しに来たワシらの魂に触れ、その人間が本当に欲しがっているものを探し当て、資料を見つけてくれるのじゃよ」 「魂に触れる?!」 シフトは、その話を聞いて目を丸くして驚く。 「魂に触れる…それって、人間の魂の中にある無意識な精神のことを言うのかな?じいさん、そういう事なのか?」 「…具体的に言うと、そういうことじゃのぅ…」 「そんな話、初めて聞いたわ…」 トウケウで見た古代人達は俺達と大差ないかんじだったけど、そんな能力を持っている奴らもいるなんて、やっぱりすごいよなぁ…
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