第三章 古代種と魔物という存在

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その後、俺達は館内にいた他の旅人から聞いて、古代史―――――特にマカボルンが作られる前後の時代“世界大戦”時代の資料があるという地下のフロアへ降りていった。ただ、噂でもあるように、館内で迷って外に出られなくなる可能性もあるため、命の補償はないという。 「マカボルンって”願い事を叶える魔石”って云われているけど、具体的にはどんな効果があるんだろう?」 自分の名前以外何もわからないシフトは、あのマカボルンですら、名前しか知らないらしい。 「俺とミヤが資料探しに行っていた亡失都市トウケウでは、滅亡前の都市を映し、人々もあそこに漂っている魂の数と同じくらい生前の姿で行動していたのが見られた…かな」 「そうなんだ…。それにしても、男女の2人旅はさぞかし楽しいんだろうね?」 「は!?」 あいかわらず、何を言い出すんだ!と、言わんばかりの台詞がシフトには多い。 「でもね、セキったら脱出手段すら考えずにあの街にいたのよ」 ミヤがクスクス笑いながらシフトに言う。 「ちょっと!ミヤまで!!」 二人同時にからかわれて、すごく恥ずかしい気分だった。 話している内に、かなり奥の方まで来ていた。 この辺を探せば、マカボルンについての資料が見つかるかも… そう考えた俺は、二人に提案する。 「じゃあ、この辺から順を追って探していこうぜ!…お互い見失ったら困るから、その辺は注意しながら探そう!」  「『古代の食文化について』、『世界大戦はどのようにして起きたのか』、『機械について』…」 本のタイトルを口にしながら、俺は資料を探し始めた。 蔵書量が世界一の図書館なだけあり、とても探し甲斐がある。それにしても、世界の言語について昔勉強しておいて本当に良かったと実感する。 この世界には当然、“世界共通語”はあるが、やはりこういった文献や人々の間で話す言語は、その国の言葉がほとんどだ。俺はここに来るまで、母国語であるレンフェン語はもちろん、ケステル共和国やミスエファジーナでの共通語たる“ファブレ語”と“ミスエ語”もいくらか勉強してきている。最も、世界中を旅していれば自然に身に付くモノでもある。ただ、古代人が昔使用していた言語はミスエファジーナのミスエ語に近いけど、まだ文法がややこしくてなかなか覚えられない。 「シフト、どうしたの?」 作業を止めてその場で突っ立っているシフトを不思議に思い、ミヤが尋ねた。
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