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彼女の言葉を聞いて我に返ったシフトは、その声で我に返ったようだ。
「ううん、大丈夫。ただ…なんか、懐かしい雰囲気がするんだよね。…なんでだろう?」
「…お前の失った記憶と何か関係があるのかな?」
「…わからない」
一瞬、シフトの瞳が潤んでいるのが見えた。
…詮索するつもりはないけれど、そういえばあいつってどんな民族出身なんだろう…
本を探しながら、俺は考える。
白銀色の髪と紅い瞳の民族って聞いたこともない…俺が知らないだけなのかな?それでなくても、今この場にいる2人は変わった雰囲気を感じる…
そんな考えが頭の中をよぎるが、この考えは決して口には出さないつもりだ。何故かというと、ミヤはミヤだし、シフトもまた然り。外見だけが全てじゃないのは、ちゃんと解っているつもりだ。
資料を探し始めて、1時間は経過したのだろうか。3人とも、探すのに熱中していて時間が過ぎるのを忘れていた。その時、俺は偶然『召喚獣について』という本を見つける。魔術師ではない俺はこういった魔法関係はさっぱりわからないが、何となくページをめくってみた。
竜族の長と言われた“竜王バハレンド”に、“不死鳥フェニックス”…。このフェニックスは、俺らの国では『鳳凰』と呼ばれているくらいだから、かなり有名なんだろうな…
そんなことを考えながら、本棚にしまうと―――――――――
突然、本棚が揺れ始めた。
「地震…!!?」
「皆!本棚から離れて、机の下にもぐるんだ!!!」
俺の言葉を聞いた2人は、机の下に避難する。
周囲の本棚が揺れる。幸いかなり大規模な地震ではなかったため、数分が経過した後におさまった。
「ここは本棚が多いから、もっと強い地震だったら潰されていたかもしれないな…。2人とも、大丈夫か?」
机の下から抜け出した俺は、2人が無事か確認する。
「私は大丈夫よ」
「僕も大丈夫。…それより、あれ…!!」
シフトが指差した先には、1つの古ぼけた扉があった。
「あれがどうかしたのか?」
「地震が起きるまでは、あんな所に扉はなかったんだ…!」
「!!!」
シフトの言葉で、俺とミヤは驚いた。
「…館内の配置が変わるってこんなかんじなのかもしれないわね」
「ああ…とにかく、この中に入ってみよう!!」
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