第三章 古代種と魔物という存在

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彼女の言葉を聞いて我に返ったシフトは、その声で我に返ったようだ。 「ううん、大丈夫。ただ…なんか、懐かしい雰囲気がするんだよね。…なんでだろう?」 「…お前の失った記憶と何か関係があるのかな?」 「…わからない」 一瞬、シフトの瞳が潤んでいるのが見えた。 …詮索するつもりはないけれど、そういえばあいつってどんな民族出身なんだろう… 本を探しながら、俺は考える。 白銀色の髪と紅い瞳の民族って聞いたこともない…俺が知らないだけなのかな?それでなくても、今この場にいる2人は変わった雰囲気を感じる… そんな考えが頭の中をよぎるが、この考えは決して口には出さないつもりだ。何故かというと、ミヤはミヤだし、シフトもまた然り。外見だけが全てじゃないのは、ちゃんと解っているつもりだ。    資料を探し始めて、1時間は経過したのだろうか。3人とも、探すのに熱中していて時間が過ぎるのを忘れていた。その時、俺は偶然『召喚獣について』という本を見つける。魔術師ではない俺はこういった魔法関係はさっぱりわからないが、何となくページをめくってみた。 竜族の長と言われた“竜王バハレンド”に、“不死鳥フェニックス”…。このフェニックスは、俺らの国では『鳳凰』と呼ばれているくらいだから、かなり有名なんだろうな… そんなことを考えながら、本棚にしまうと――――――――― 突然、本棚が揺れ始めた。 「地震…!!?」 「皆!本棚から離れて、机の下にもぐるんだ!!!」  俺の言葉を聞いた2人は、机の下に避難する。 周囲の本棚が揺れる。幸いかなり大規模な地震ではなかったため、数分が経過した後におさまった。 「ここは本棚が多いから、もっと強い地震だったら潰されていたかもしれないな…。2人とも、大丈夫か?」 机の下から抜け出した俺は、2人が無事か確認する。 「私は大丈夫よ」 「僕も大丈夫。…それより、あれ…!!」 シフトが指差した先には、1つの古ぼけた扉があった。 「あれがどうかしたのか?」 「地震が起きるまでは、あんな所に扉はなかったんだ…!」 「!!!」 シフトの言葉で、俺とミヤは驚いた。 「…館内の配置が変わるってこんなかんじなのかもしれないわね」 「ああ…とにかく、この中に入ってみよう!!」  
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