第三章 古代種と魔物という存在

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「でも、どうしてあなたがこの場所に…?」 「それは、この図書館内にいる彼ら…古代人の『意思』を君たち生きる者に伝えるのも、わしの役目じゃからのう…。最も、彼らが『君たちが本当に探している資料』を見つけた時に限るがな…」  古代図書館のかなり奥まで入り込んでいたみたいなので、その老人は俺達を入り口のある1階フロアまで案内してくれた。そこに到着すると、微笑みながら消えていったのである。トウケウで見た現象と同じくらい、不思議な気持ちでいっぱいだった。 「とりあえず、これがマカボルンの手がかりになりそうなのは大収穫だけど…。ここで再生できないんじゃ、意味ないよね?」 「あ…!!」 何かを思い出したように、ミヤが声をはりあげる。 「…もしかしたら、これを再生できるかもしれない…」 「本当に!?どうすれば、見れるんだ??」 やっと掴んだ手がかりだからか、彼女の言葉に俺はくらいついていた。 「確か…カルマ族…だったかしら。彼らなら、DVD-ROMを再生する機械を作れるらしいし…頼めば可能かも」 「そうか、彼らならできるかもしれない!!」 その民族の名前を聞いて、俺は思いだす。 カルマ族とは、古代人の末裔とに当たる民族の一つである。古代人の血を引いているからなのか、機械の扱いや作る知識を持っていると云われている。ただし、問題なのは一部の人から「戦争の兵器を作れる恐ろしい種族」と彼らに対して考えているために偏見や差別を受け、現状で何処に暮らしているのかが解らないとされている。 「…でも、俺みたいなコ族の人間に頼まれたら、嫌がるだろうな…」 「セキ…」 俺の呟きに対し、ミヤが側で心配そうに自分を見上げる。 その理由は、歴史の中にあった。今から20年前でまだ俺が生まれていなかった当時、前皇帝とカルマ族との間で内戦が起きていたからだ。これまで、カルマ族の一部は各地へ移住を繰り返し、俺の国レンフェンにも多数のカルマ族が住んでいた。しかし、それを良しとしない前の皇帝が挑発し、戦争を開始したと言う。カルマ族は機械でできた兵器を作れるためにそっちが優勢かと思われたが、やはり多勢に無勢という言葉があるように、数で勝っている俺たちコ族が勝利した。
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