第一章 亡失都市での調べ物

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到着すると、そこにも警備員がいた。茶髪の女性を追いかけたいが、極力この街の「人」と衝突したくない。ビルの柱の影に隠れながら一瞬考えたが、「この機会を逃せば、次にこの街へ“入れる”のは1年後だ」という考えから、後を追うことにした。  警備員には申し訳なく感じつつも、溝落ちに当て身を一発食らわせて気絶させたのである。その警備員が持っていた白いカードを「リーダ」という機械にあてると、簡単に施錠を解除できた。やはり、このカードがビルに入る鍵らしい。    ビルに入ってからはなるべく人との接触を避けるため、階段を登り始める。体力には自信があったものの、外で見た高層ビルと同じような高さの建物のため、次第に登るのが疲れてきたセキであった。 …そもそも、彼女はどの階にいるのだろう? 不意にそうそう思った時、階段のすぐそばに自分でも知っている「エレベーター」を発見した。しかも、ちょうど自分がいる階に止まっている事に気付く。 よし…! 丁度良いと感じたセキは、上矢印が書かれたボタンを押す。鈴の音のように高い音が鳴ったのと同時に、エレベータの扉が開く。 すると、そこには隅っこに座り込んでいるあの茶髪の女性の姿があった。
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