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「・・・」
「あのぉ、やっぱりダメですか?こういう店は。」
「えっ?いや…その…ダメではないよね…うん、ダメでは…ただ、言いにくいんだけど…椅子に座って食べたかったかなぁ、お蕎麦?」
佐藤くんが言うとびきりのお店は駅前の立ち食い蕎麦屋だった。
「ああっ、そうですよね。一日中立ち仕事ですもんね。しまったなぁ。そりゃ食事くらい座りたいですよね。あっ、そうだ、僕がお店の人に頼んで丸椅子借りてきますっ!」
「ま、待って佐藤くん!椅子いい、いいから。ほら丸椅子とこのカウンターじゃ、高さ合わないよね?」
「そ、そうですよね…」
な、なによ。ちょっとその落ち込んだ顔かわいいじゃない。怒る気失せちゃった。
「とにかく食べよ。ねっ、お腹も空いたしお蕎麦伸びちゃう。」
「はい!この店の出汁がたまりませんから!僕なんていつも全部飲んでしまうんですよ。」
ふうん…立ち食い蕎麦にそれほどまで。ご熱心なことで。
ずずずずーっと一気にすするとーーー
「めちゃ、美味しいっ!」
「ねっ。」
ほんとだ、満足げな佐藤くんの言うとおり、お出汁も全部いけちゃいそうだな。
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