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Story1
「佐川さん、佐川さんっ!」
「へっ?」
「売り場でボーッとするの止めてください。」
「えっ?あ、ああ…売り場ね。」
ここは某有名デパートの子供服売り場。
私はこの売り場に来てもう3年目になるんだけど…うん、確かに今、完全にボーッとしてた。
きっとアレだよ、アレ。
夕べ遅くまでやってたんだよねぇ。例の乙女ゲー。
夢中になってやり過ぎて、気づいたら今頭ん中で勝手にゲーム進めてた。久しぶりの合コンでモテまくりって。
遂に妄想でゲーム出来るようになって来たわ。いかんいかん、仕事に集中!
「ごめんね、佐藤くん。仕事中にボケっとしちゃって。」
ここは素直に謝っておこう。
「佐川さん、何か悩み事ですか?僕で良ければ聞きますよ。」
と声を掛けてくれるのは同じ子供服売り場で働く後輩の佐藤一くん。
年は私より確か…覚えてないや。
何せ、普通。
名前も割りと、普通。
見た目も悪くもなく、かといってめちゃくちゃイケメンでもなく…
性格もまあ、普通だよね。
普通かぁ…
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