出逢い

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* * * 「……落ち着きました?」  職員専用室に男を入れてから十数分。そろそろ昼飯を食いたいんだが。と思いながらも丁寧に接する。見る限り若そうで、少なくとも玲司よりは年下だろう、と思った。  男はゆっくりと顔を上げ、「はい」と言った。涙に気を取られて凝視していなかったが、この男はかなり顔が整っている。  玲司は、思わず息を飲んだ。 「すみません、わざわざ。ちょっと……現実味がなくて、混乱してしまって」 「……そうですよね」  できれば名前を伺いたい。だが、こちらから名前を聞くのも変な話だ。そう思っていると、男から名乗ってくれた。 「そういえば……まだ名前言ってませんでしたよね。俺、日永(ひなが)紫麻(しま)って言います。二十五歳です」 「二十五歳……ああ、俺は小幡です。二十八歳です」 「え。若いと思ってたのに……意外と……あれなんですね」 「ふふ、言いたいことはわかります。若く見られやすいんですよね」  なんとか和ませようと、軽く笑う。すると、日永も柔らかく笑った。
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