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あまりにも淡々と答えていく峰旗に、怒り以外の感情も湧き出てくるのがわかった。きっと、玲司の顔は怒りを通り越して無表情になっていることだろう。
一一俺は秋也のことをいい奴だと思い込んでたけど、違った。
ずっと、峰旗は自分のことを厭らしい目で見ていたということだ。そこに好意は一切なく、ただ抱きたいということだけ。それだけで、峰旗は玲司に接してきていた。身体目当てだったのだ。
「……は……」
自分の口から自然と乾いた笑みが零れる。
自分は、こんな男に普通に接していた。素をさらけ出していた。
玲司は心底自分が恨めしくなる。
どうして、こんなにも心に穴が開いたように感じるのか。それは、自分が峰旗のことを信頼していたからだ。
今も、峰旗は自分のことをそういう目で見ているんだろう。
「そうか……俺、やっとわかったわ」
「なにがだ? 俺としてくれるのか?」
可笑しい発言をする峰旗を、玲司は嘲笑する。峰旗とできるなら佐野とも西尾ともできる。
「お前、俺を自分の家に入れてセックスするつもりだったんだろ? それで、スマホでその様子を撮って脅すつもりだったんだろ。『これを拡散されたくなかったらセフレになれ』とでも言うつもりだったのか」
「……なんで」
図星だった。
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