偽りの友情

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「先に言いますけど、俺は男に抱かれる趣味ないんで」 「……俺だって、男を抱く趣味はない」 「だったら、そんな飢えた獣みたいな目で見るのやめてもらえます? そーんな顔して言われても説得力のカケラもありませんね。玲司さんも変な人だ。ずっとそんな目を向けられていたのになんとも思わないなんて」  残っているアイスコーヒーを飲む。玲司と間接キスをすることになるが、そんなことが目的ではない。ただ単に喉が渇いたのと、玲司が口をつけたストローを峰旗が持ち帰らないようにするためだ。 「もう、友人には戻れない。俺のせいだ」 「……そうですかね? あんたを誘惑した玲司さんのせいだって捉えることもできますけど」 「違う。俺が勝手にエロい目で見てただけなんだ」 「好きではない?」 「……好きなわけではない。ただ……」  その言葉を聞いて、佐野はテーブルを力任せに叩いた。然程大きい音は出なかったものの、峰旗をびくっとさせるのには十分だった。 「へぇ。そんな言い方されたら玲司さんも怒りますね。エロい目で見ておいて好きではないって、なに様なんですか? そんなの好きって言ってるようにしか聞こえませんけど」 「だからって好きって確定できるわけではないだろう? 俺はあいつと恋人関係になりたいわけじゃない」 「セックスがしたいんだ?」 「……」  佐野は、目の前にいる男に若干の恐怖を抱く。
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