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日永は、佐野が読モをしていた頃に仲良くしてくれて、ぽっと出の佐野を嫌う連中からも守ってくれた。そのおかげで、佐野は胸を張ることができたのだ。
もし自分の教育係が玲司でなければ今頃かなり捻くれていただろうし、もしあのとき日永が助けてくれなければきっと顔も身体も、心もボロボロになっていた。
あの二人は、謂わば恩人なのだ。
それを峰旗は傷つけている。しかも、無意識に。
峰旗が悪いというわけではない。いや、正確には峰旗にも悪いところがあるのかもしれない。
それがエスカレートしたら、あの二人は安心して暮らせるのだろうか。
もし峰旗が玲司に手を出したら、日永は壊れてしまうのではないだろうか。今でさえ玲司に触れる輩に対して嫉妬をしているというのに。
だったら、自分になにができる?
目の前にいる峰旗は、今も飢えた目をしている。
自分は、どうするべきなのか。
そんなものは、すぐに答えがでるはずだ。
「……峰旗さん」
「なんだ?」
「あんたは、セックスできれば誰でもいいのか?」
「……は……そうかもな。最低だけど」
佐野は、その言葉に大きく息を吸う。
「じゃあ、俺があんたのセフレになってやるよ」
あの二人を守れるなら、この身体なんて簡単に差し出してやろう。それが、恩返しにでもなるというならば。
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