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「玲司さん、俺に訊きましたよね。キスできるのかって。逆に訊いちゃうと、玲司さんは俺に対してどこまですることができますか?」
ソファに座り、隣に座る日永が膝に肘を乗せ、手を組んでいる。その組んだ手に顔を乗せながらそうやって訊いてきた。
どこまですることができるのか。
そう訊かれて玲司は考える。
「……そうだな……別に、なにされてもいいのかもしれない」
「なにされてもって……それ、本当に言ってます? その中にはセックスも殺人とかも含まれてしまうんでしょう? 俺ですよ。信じていいとでも思ってるんですか」
「お前じゃないとこんなこと言わねえよ。お前から見て、俺はそんな風に見えてるのか」
「……」
日永が複雑そうな顔をする。悩ませてしまって本当に申し訳ないが、玲司もかなり追い込まれている状況でもあるのだ。
とりあえず、日永にならなにされてもいいと思った理由を言おう。
「俺、麻友失ってから恋してもいいのか、とか。好きな人を作ってもいいのか、とか。ずっと悩んでたんだよ。だから……」
「俺に、試そうと?」
日永の顔が険しいものに変わる。玲司はその顔を見て、訂正した。
「違う。日永を相手に考えてみたら、なにされても許せるような気がしたんだよ」
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