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結婚してからは、毎日が幸せでずっと続くと思っていた。
それにも関わらず。
たった四ヶ月でそれは終わり、愛する人を失った。玲司は既に両親を失い、姉と兄がいる。どちらも結婚していて、幸せな家庭を築いている。
麻友は父を失っており、一人っ子のため家族は母だけだとか。でも、その母は玲司のことをかなり嫌っていて、会う度に嫌味を言われる。まともに麻友の墓も掃除しない無責任な親だ。当然その母のことを嫌っているが、母の家に麻友の仏壇がある。麻友の命日には必ず行くのだが、その度に憂鬱になる。
麻友が亡くなって四年。もうすぐ、五年。
天国で彼女は、幸せになっているだろうか。
そんなことをずっと考えながら生きている。これが、償いだと思っているから。
今日も無理やり笑顔を貼り付けて働く。
麻友を想いながら。
もうそろそろ昼休憩に入ろうと窓口の席を立つと、なにやら女性職員が騒めく。
注意しようとした次の瞬間、順番待ちをしている女性までもが周りの人となにやら話し始めた。
何事だ。
そう思ったので辺りを見渡すと、長身の男が慌てた様子でこちらに向かってくる。
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